濁川(神宮川)ーヤチキ沢、日向山(南アルプス前衛) 後編
2011.06.08
充実感たっぷりなヤチキ沢の遡行の余韻にひたりながら、下山はとても楽しみにしていた日向山北東尾根です。
元登山道だったとはいえ、植林もなく自然のままな尾根で、データも少なかったので少々不安ではありましたが
沢に比べればどうということはないでしょうな気持ちで下山です。
ザイルもハーネスもあるし、いざとなったら懸垂で降りれば・・・でした。

元登山道だったとはいえ、植林もなく自然のままな尾根で、データも少なかったので少々不安ではありましたが
沢に比べればどうということはないでしょうな気持ちで下山です。
ザイルもハーネスもあるし、いざとなったら懸垂で降りれば・・・でした。

などと言い訳がましい前触れですが、予定していたコースをちゃんと下れていれば、特にそんな大げさな話ではなかったのですが、
今回も結果からいえば、道迷いやっちまったな訳でして。。。

地図1

地図2
クリックで大きくなります
日向山から登ってきた北東尾根をまたたどって下って行きます。
注意してみれば赤テが煩わしくない程度に下山のルートを教えてくれます。
1500m圏で沢から登ってきたルートを離れ、1350m圏に向かいます。
都笹が美しかった尾根はいつしか下草が消えて、1350m圏手前でキレット状となり、
踏み跡は1350m圏のピークを巻くようについています。巻き道の先は広い平らな場所で、
大きな樅の木にはピンクテープが下がっています。

ここからは日向山北東尾根から離れて地図2の示した赤いラインを下る予定でした。
1350m圏から2本目までは赤テがあったので、この尾根も下山ルートになっていると思われます。
そうして、ほんとうに微妙な感じでグリーラインに向かってしまいます。
途中何度もコンパスは切っているし、赤いラインと同じ方向に進んでおり、両脇には沢型も入っていたので、
間違っているとは思いませんでした。ただ、3つ目の赤テを見つけることはついにありませんでした。
この時点でなんか変・・・な漠然とした気持ちはあるのですが、確証がありません。
1150m圏で進路がおかしなことに気づいた時点でまた稜線まで戻るという選択肢もあったのですが、
この時の心理は、なぜか「なんとかなるだろう」というもの。。。
地形図と実際の地形が合わなくなった時点で、ちょっと頭が混乱してきて、正直現在地はどこなのかわかりません。
案の定、1100m圏で沢に進路を阻まれます。が、あと林道まで標高差で160m余りという現実が、稜線に戻るという選択肢を嫌います。
一旦左の沢型に降りて、さらに左の尾根に乗ります。帰ってから地形図を考察してみると、地形図には顕著な沢型は現れません。
こういうのっぺりとした地形が実は一番くせものだということは丹沢でも経験済だったはずですが、中々身についていません。
再度沢に阻まれましたが、思ったよりものっぺりとしたゆるい流れだったため、もう沢を下るという気持ちになっています。

ふいに足元1m近くになるまで気づかず、
そこには生まれてそんなにたっていないような小鹿がうずくまって、自分の手足をぺろぺろと舐めています。
うずくまっていると、人間の生まれたばかりの赤ちゃんとそんなに大きさが変わりません。つぶらな瞳がなんともかわいいです。
一瞬、崖から落ちたのか、かわいそうにと思いましたが、それにしては元気すぎます。
が、母鹿の姿が見えません。人間の気配を感じて、動けない小鹿だけを置いて逃げたものか、真相はわかりませんが
自分達の身もやはり危険にさらされているのにはかわりがないので、先を急ぎます。
沢に下った時点で、標高からしてもヤチキ沢手前の2本のうちのどちらかの沢に降りたと確信します。
程なく落差のある滝でこの進路は終わりです。
あたりを見回して、右岸の尾根がなんとか登れそうです。相方はルンゼを、ぜいぜいは木と岩混じりの岩峰を登ることにします。
ほぼ垂直に近いような斜面を、木があるというだけで単独で登った自分が信じられません。
相方曰く 早い…
あまりの恐怖に猛スピードで岩をよじ登ったもようです。。。
一箇所不安定な岩に体重を掛けた瞬間に岩が外れたときは、肝を冷やしましたが、事なきを得て、なんとかゆるい傾斜に乗りました。
ルンゼを回りこんで、確信の持てる尾根に乗ったときには心底ほっとしました。
すぐに林道が見えてきて、擁壁を避けながら、右へ右へと微妙なトラバースで下り、やっと林道に下り立ちました。
そこはゲートのある所でした。
今回下山に予定した赤いルートは降り口は分かりづらく、あまりお勧めできません。
さらに1221m三角点の手前まで下って、北の支尾根に下る黄色のルートの方が確実だと思われます。
またチャンスがあれば、黄色のルートから北東尾根を目指したいと、密かに思っています。
最後に、確信の持てる尾根に向かうルート取りをあれこれと思案しているときに、相方は自分が取り付いたルンゼの更に先にある深いルンゼのトラバースを提案してきました。そこまで行き着くまでのトラバースとてカモシカしか行けないようなところだし、そのルンゼとてどうみても岩の立っているルンゼです。到底トラバースなどできるわけもないと思うのですが、窮地に追いやられた先に光明がみえたときに、人はとんでもない無茶を行いそうになるのです。二人だったから、押しとどめることが出来たと思います。もう少しで安全地帯。。。でもその前に最後の慎重を期したいものです。
なんて、道間違え常習者に言われたくないですよね~
***コースタイム***
道の駅白州7:13~神宮川左岸P7:28/7:35~ヤチキ沢入渓点7:55/8:10~F1(10m)9:00~F3(10m)9:45~
支尾根沢解除10:25/10:40~北東尾根10:55~日向山12:00/12:30~1350m圏広場13:15~林道ゲート(890m)15:07
温泉:韮崎旭温泉 600円(値上がりしてるし) とぅるとぅる、あ~極楽
前編はこちら
参照:シャルマンワイン内甲斐駒ケ岳資料館
時間があったら行ってみたいです。
今回も結果からいえば、道迷いやっちまったな訳でして。。。

地図1

地図2
クリックで大きくなります
日向山から登ってきた北東尾根をまたたどって下って行きます。
注意してみれば赤テが煩わしくない程度に下山のルートを教えてくれます。
1500m圏で沢から登ってきたルートを離れ、1350m圏に向かいます。
都笹が美しかった尾根はいつしか下草が消えて、1350m圏手前でキレット状となり、
踏み跡は1350m圏のピークを巻くようについています。巻き道の先は広い平らな場所で、
大きな樅の木にはピンクテープが下がっています。

ここからは日向山北東尾根から離れて地図2の示した赤いラインを下る予定でした。
1350m圏から2本目までは赤テがあったので、この尾根も下山ルートになっていると思われます。
そうして、ほんとうに微妙な感じでグリーラインに向かってしまいます。
途中何度もコンパスは切っているし、赤いラインと同じ方向に進んでおり、両脇には沢型も入っていたので、
間違っているとは思いませんでした。ただ、3つ目の赤テを見つけることはついにありませんでした。
この時点でなんか変・・・な漠然とした気持ちはあるのですが、確証がありません。
1150m圏で進路がおかしなことに気づいた時点でまた稜線まで戻るという選択肢もあったのですが、
この時の心理は、なぜか「なんとかなるだろう」というもの。。。
地形図と実際の地形が合わなくなった時点で、ちょっと頭が混乱してきて、正直現在地はどこなのかわかりません。
案の定、1100m圏で沢に進路を阻まれます。が、あと林道まで標高差で160m余りという現実が、稜線に戻るという選択肢を嫌います。
一旦左の沢型に降りて、さらに左の尾根に乗ります。帰ってから地形図を考察してみると、地形図には顕著な沢型は現れません。
こういうのっぺりとした地形が実は一番くせものだということは丹沢でも経験済だったはずですが、中々身についていません。
再度沢に阻まれましたが、思ったよりものっぺりとしたゆるい流れだったため、もう沢を下るという気持ちになっています。

ふいに足元1m近くになるまで気づかず、
そこには生まれてそんなにたっていないような小鹿がうずくまって、自分の手足をぺろぺろと舐めています。
うずくまっていると、人間の生まれたばかりの赤ちゃんとそんなに大きさが変わりません。つぶらな瞳がなんともかわいいです。
一瞬、崖から落ちたのか、かわいそうにと思いましたが、それにしては元気すぎます。
が、母鹿の姿が見えません。人間の気配を感じて、動けない小鹿だけを置いて逃げたものか、真相はわかりませんが
自分達の身もやはり危険にさらされているのにはかわりがないので、先を急ぎます。
沢に下った時点で、標高からしてもヤチキ沢手前の2本のうちのどちらかの沢に降りたと確信します。
程なく落差のある滝でこの進路は終わりです。
あたりを見回して、右岸の尾根がなんとか登れそうです。相方はルンゼを、ぜいぜいは木と岩混じりの岩峰を登ることにします。
ほぼ垂直に近いような斜面を、木があるというだけで単独で登った自分が信じられません。
相方曰く 早い…
あまりの恐怖に猛スピードで岩をよじ登ったもようです。。。
一箇所不安定な岩に体重を掛けた瞬間に岩が外れたときは、肝を冷やしましたが、事なきを得て、なんとかゆるい傾斜に乗りました。
ルンゼを回りこんで、確信の持てる尾根に乗ったときには心底ほっとしました。
すぐに林道が見えてきて、擁壁を避けながら、右へ右へと微妙なトラバースで下り、やっと林道に下り立ちました。
そこはゲートのある所でした。
今回下山に予定した赤いルートは降り口は分かりづらく、あまりお勧めできません。
さらに1221m三角点の手前まで下って、北の支尾根に下る黄色のルートの方が確実だと思われます。
またチャンスがあれば、黄色のルートから北東尾根を目指したいと、密かに思っています。
最後に、確信の持てる尾根に向かうルート取りをあれこれと思案しているときに、相方は自分が取り付いたルンゼの更に先にある深いルンゼのトラバースを提案してきました。そこまで行き着くまでのトラバースとてカモシカしか行けないようなところだし、そのルンゼとてどうみても岩の立っているルンゼです。到底トラバースなどできるわけもないと思うのですが、窮地に追いやられた先に光明がみえたときに、人はとんでもない無茶を行いそうになるのです。二人だったから、押しとどめることが出来たと思います。もう少しで安全地帯。。。でもその前に最後の慎重を期したいものです。
なんて、道間違え常習者に言われたくないですよね~
***コースタイム***
道の駅白州7:13~神宮川左岸P7:28/7:35~ヤチキ沢入渓点7:55/8:10~F1(10m)9:00~F3(10m)9:45~
支尾根沢解除10:25/10:40~北東尾根10:55~日向山12:00/12:30~1350m圏広場13:15~林道ゲート(890m)15:07
温泉:韮崎旭温泉 600円(値上がりしてるし) とぅるとぅる、あ~極楽
前編はこちら
参照:シャルマンワイン内甲斐駒ケ岳資料館
時間があったら行ってみたいです。
Comment
北東尾根 - earlgrey8
そのまま、三角点経由して、尾根のまま来ると僕の家来ますんで、ま、ぜぜさまご一行にはつまらない尾根コースだとは思いますが・・・
無事でよろしゅうございました。
無事でよろしゅうございました。
2011.06.08 Wed 14:59 URL [ Edit ]
- 食う寝るさんだ~す
日向山であわや遭難!・・・って笑えない道間違え常習者のオイラです。
バリや沢だと怖いですね、無事でなによりですた。
間違えたかな?って時に引き返すのはホント難しい選択ですわ。
いつもこれで失敗しますけど・・・(T_T)
バリや沢だと怖いですね、無事でなによりですた。
間違えたかな?って時に引き返すのはホント難しい選択ですわ。
いつもこれで失敗しますけど・・・(T_T)
2011.06.08 Wed 17:16 URL [ Edit ]
- ぜいぜい
☆earlgrey8さん
遭難ですか、いや、そうなんですかあ。あのあたりいいとこですよね。
いえいえ、つまらない尾根コースだなんて、やはり安全第一ですもん。
時間があったらシャルマンワインの中にある甲斐駒ケ岳資料館にぜひ寄ってみたいんです。
恩田善雄さんの膨大な甲斐駒周辺の資料があるようで、興味深々です。
行ったことありますか?
☆食うちゃん
え、食うちゃんもやっちゃったの?
人ってやり直すとか戻るとか苦手だよね~
遭難ですか、いや、そうなんですかあ。あのあたりいいとこですよね。
いえいえ、つまらない尾根コースだなんて、やはり安全第一ですもん。
時間があったらシャルマンワインの中にある甲斐駒ケ岳資料館にぜひ寄ってみたいんです。
恩田善雄さんの膨大な甲斐駒周辺の資料があるようで、興味深々です。
行ったことありますか?
☆食うちゃん
え、食うちゃんもやっちゃったの?
人ってやり直すとか戻るとか苦手だよね~
ないでーす - eralgrey8
初耳だったんで 忘れてなかったら いつか行きます
最近もの忘れ激しいからなぁ
最近もの忘れ激しいからなぁ
2011.06.08 Wed 20:30 URL [ Edit ]
- おくがけど
こんなのよくあることだよ~(笑)
っていうか、赤ラインの下降路はめっちゃ短気な性格のような気がする。1200m圏までは派生尾根って呼べないようなビミョーな地形ですから、仰るように黄色ルートの方がわかりやすい。
急がば回れの見本みたいなルート設定ですな。
ちなみに・・・
もおだてりゃ木に登る
っていうか、赤ラインの下降路はめっちゃ短気な性格のような気がする。1200m圏までは派生尾根って呼べないようなビミョーな地形ですから、仰るように黄色ルートの方がわかりやすい。
急がば回れの見本みたいなルート設定ですな。
ちなみに・・・

2011.06.08 Wed 21:05 URL [ Edit ]
- ぜいぜい
☆eralgrey8さん
ぜひいってみそ。物忘れ、いっしょだわあ。
☆おくがけちゃん
そなんだ、日常茶飯事なの。会社にもバリルートとか(爆
おっしゃるとおり、赤ラインを見つけるのは、至難の業でしたわ。
普通は黄色だよね。
ん、ミス・インターナショナルも木に登る???
ぜひいってみそ。物忘れ、いっしょだわあ。
☆おくがけちゃん
そなんだ、日常茶飯事なの。会社にもバリルートとか(爆
おっしゃるとおり、赤ラインを見つけるのは、至難の業でしたわ。
普通は黄色だよね。
ん、ミス・インターナショナルも木に登る???
TrackBack
TrackBackURL
→ http://zeizei.blog5.fc2.com/tb.php/626-3b1a617e
→ http://zeizei.blog5.fc2.com/tb.php/626-3b1a617e
| Home |